あけましておめでとうございます。もりしゅーです。
すっかり2014年ですね。あー、月日が経つのって早い。
第三回目になりました。どうも。
・「高山植物」とはなんなのか。
実は、「高山植物」という厳密な定義は存在しません。
これは「春に咲く花」とか「海辺に生える植物」と同じくらいざっくりした表現で、高山植物にしかない特別な共通点が存在しているわけでもないのです。
・どのようなものを「高山植物」と呼ぶのか。
分布域が森林限界以上だと一般的に言われています。ただし、「森林限界」という定義もはっきりしていない場合もありますし、(ハイマツ帯をいれるかどうかとか)、垂直分布が広くて、里山から高山帯まで分布するものもいますので、あいまいです。手ごろな図鑑などで「高山植物」と書かれている場合は、亜高山帯の植物も含まれています。
また、「高山帯でしか生きれない、貴重な植物」という言われ方もしますが、高緯度地域には平地にも生息しているものもいます。いろいろです。
・なにゆえ高山帯に生息するのか。
「なにゆえ」なんて書いてしまうと、それを言い当てる真理がありそうですが、これもいろいろです。
ただし、生息分布の拡大と縮小の過程で、高緯度に生息している植物が、高山帯に取り残された種が数多く存在します。
http://www.yachiyo-eng.co.jp/feature/2008/f35.html
上の図は、植物相の変化と標高の垂直分布の関係を示したものです。
上が現在。九州から関東の低標高地は照葉樹林帯が広がり、標高をあげるとブナ林、亜高山針葉樹林などに変化するということが示してあります。
下の図は、今から2万年前の最終氷河期の垂直分布です。
気温が低かったらしく、今のような温暖な気候ではなかったそうです。
また、植物相も大きく違い針葉樹が多かったとか。
寒冷な気候のため、照葉樹林は、九州の南まで追いやられたとの話です。
この時期は、日本列島が大陸と陸続きになっていて、高緯度に生息していた植物も日本列島まで分布域を拡大しました。
そして、氷河期がおわり、温暖な気候になってくると、寒冷な気候を好む植物は分布の南限が北上。
照葉樹なども分布を拡大。
この時、寒冷な気候を好む植物のうち、日本の高山帯に適応したものが、高山帯に取り残されたという形です。
「避難所」と表現するそうですが、難民キャンプ状態なのだそう。
なので、遺伝子交流もないと思われる山域で同一、もしくは似通った植物が存在していることになります。
ロシア、アラスカなどでは、道のわきに咲いている植物種もあるとか。
もちろん、低山域から高山域へ進出した植物種も存在します。
なんだか特別な全く新しい種が山に生まれたわけではなく、周囲から移動してきて適応しているのです。
「なぜそこにこの生物がいるのか」を考えることは、地球の歴史に触れることなので、僕は大好きです。
最後急ぎ足でしたが、今回はここまで。